出産②

出産

①の終わりにも書いたように

ここからは記憶が曖昧で時間感覚も

よく覚えていないけど

ずっと隣で支え続けてくれた主人に

確認しながら自分の感覚的記憶を辿って…

日付が変わって2月6日(土)

深夜0時30分ごろ破水。

いきなり何かの栓が外れたかのような感覚がしたと思うと

あっという間に大量の生温かい羊水が。

助産師さんを呼んで着替えや処置をしてもらい

いよいよかと思っていたら

急に全身が震えだし

強烈な寒気がして背中が痛み出した。

電気毛布をかけてもらって部屋の暖房も強くしたけど

震えが一向に止まらない。

熱が出たときの背中の痛みに似ていたから

測ってみると38℃後半。

そこからどんどん39℃に上がっていく。

当直の先生に診てもらうも原因がよくわからず

季節的にインフルエンザも流行っていたから

念のため調べてみたが陰性反応。

採血と培養検査もしたけど結果が出るまでに

日数がかかるし

今の段階で高熱の原因がはっきり分からないとのこと。

不安は募るし高熱からの痛みと陣痛の痛み

呼吸も荒くなって意識も朦朧とする。

娘の心拍が落ちてる!と

先生、助産師さんたち数人がバタバタ部屋に入ってきて

酸素マスクを装着され点滴、エコー、子宮口の開き具合を確認と

もう何をされてるのか分からないほど慌ただしい光景に

あ、ドラマで見たことある危ないシーンが

いま自分に起きてるのかと思うとさらに不安が増した。

こんな光景を目の当たりにした主人は

私より辛く歯がゆかっただろうな。

娘の心拍が落ちたこともあり当直の先生からは

緊急帝王切開の可能性も

頭に入れておいてくださいと主人に説明があった。

陣痛はどんどん痛みを増し

解熱剤が使えず下がらない熱とのWパンチ

主人も必死で腰をさすり深呼吸するよう声をかけてくれ

テニスボールで尾てい骨を押し水分補給の介助をしてくれ

何より傍にいてくれる安心感が辛い中での救いだった。

痛みは増すのに子宮口は開くスピードが遅く

入院した時とさほど変わらず陣痛促進剤を使うことに。

急激に痛みが増すことを覚悟してビクビクしていたが

特に効果も出ず子宮口も変わらずでガッカリ…

早朝になり産科の先生が出勤され

このまま陣痛に耐えればおそらく今日の夜には

産まれると思いますが

・胎児の心拍も数回落ちていること

・私の高熱の原因が特定できない不安

・熱と陣痛で体力を消耗しているため

乗り切れるかどうか分からない

この3点から緊急帝王切開にした方が

いいかもしれないという提案があり主人は決断を迫られた。

元々自然分娩で産みたいと私は考えていたし

帝王切開にもリスクがあるから

簡単に決めれることではなかったけど

『早く子供に会いたい』という私の一言が決め手になり

帝王切開することを決断。

きっと主人もパニック状態だったはずなのに

冷静に慎重に考え先生にリスクを聞き

苦しんで苦しんで決めてくれた。

手術の時間は正午に決定しましたと言われ

時計を見るとまだまだ時間があり

この痛みと熱に耐えなければいけない時間が長すぎて

絶望的な感覚に陥ったのは意識朦朧の中でも

はっきり覚えている。

入院してからの私の状況を

逐一両親たちに報告してくれていた主人。

心配が募る私の両親が面会可能時間になると

病院に駆けつけてくれたが極限状態だった私は

こんな姿とてもじゃないけど見せられないと面会拒否。

今思えば心配して来てくれた両親に

申し訳なかったかなと思うけど

あの姿を見たらきっとさらに心配しただろうから

会わなくてよかったかなとも思う。

何よりこの出産は主人と娘

家族3人で乗り越えたいという思いもあった。

わざわざ来てくれたから

今の状況と入院してからの過程を

両親に説明してくると病室も出て行った主人。

傍にいなくなったことがすごく心細かったのも

よく覚えている。

どうやって痛みを乗り切ったのか正直鮮明な記憶がないが

何とか正午になって手術の準備にとりかかる。

点滴をして手術着に着替え

様々な処置を済ませいざ手術室へ。

やっと我が子に会える瞬間が

確実に近づいていると思うと嬉しかったけど

1人で手術室に行くことが不安だった。

入院してからずっと隣で支え続けてくれた主人に

最後までついていてほしかったけど

手術室にはもちろん入れない。

『大丈夫やからな』『待ってるから』と

最後に声をかけてくれたのが忘れられない。

人生で初めての手術が緊急帝王切開。

まさか自分の出産がこんな展開になるなんて

予想もしていなかった。

初めての手術台に上がる恐怖もあった。

それを乗り越えれば

念願の我が子との対面と分かっていても

やっぱり怖かったし

無事に産声を聞くまで不安は尽きなかった。

コメント