手術室へ向かう途中も
もちろん陣痛は続き
必死にいきみ逃しをしながら
陣痛と陣痛の短い休みのタイミングで
何とか這って手術台へ上がる。
痛みをこらえながら
背中に麻酔を打ってもらい
少しずつ痛みの感覚が遠退いていく。
私のすぐ側についていてくれた看護師さんが
たくさん話しかけて励ましてくれ
手術の手順や進み具合を教えてくれる。
この看護師さんの存在に救われたし
主人がいない中で本当に心強かった。
麻酔が効き手術の打ち合わせが終わり
いよいよ帝王切開術が開始された。
お腹を触られてる感触は全くなく
まだ始まっていないと思って
看護師さんに状況を確認したところ
もう子宮にメスが入っていると言われ驚いた。
『もうすぐ赤ちゃんに会えるからね』
執刀医の産科の先生のこの一言に
恐怖は消え、やっと出産が楽しみだと思えた。
『もう頭が見えたよ』『肩が出るよ』
『背中も出るよ』とあっという間に進み
『おめでとう!』
ついに我が子が誕生した。
すぐに元気な産声が聞こえた。
この声を聞いて安堵の気持ちでいっぱいになった。
やっとやっと会えた!
母子とも無事にこの世で対面できた!
大袈裟でも何でもなく素直にそう思った。
午後12時53分
49.4cm 2972g
元気な女の子
誕生の瞬間は泣くのかな?なんて
出産前に想像していたけど
現実は『よかった』の一言しか出てこなかった。
無事でよかった
この一言以外なかった気がする。
点滴をしていたので
抱っこすることも
胸の上に乗せてもらうことも
叶わなかったけど
指で娘の顔を触らせてもらった。
6月に妊娠が分かってから
ずっとお腹にいた我が子が目の前にいる。
不思議な光景だった。
『お父さんのところへ連れていきますね』と
娘は誰よりも待っていた主人のもとへ。
張りつめていた緊張が解け
安堵から力が抜けたころ
どうも私は麻酔が効きやすい体質みたいで
麻酔が効いている境目、ちょうど胸のあたりが
急に息苦しく重く感じ気分が悪くなり嘔吐。
点滴で意識が飛ばされ
目が覚めた時には手術が全て終了したところだった。
病室に戻る途中
主人が駆け寄ってきてくれて
撮りたての娘の写真を見せてくれた。
それがこの1枚。
産まれて20分ちょっと経った娘。
主人と初対面した時の記念すべき1枚目。
新生児室で孫と対面した両親、義母が
病室に来てくれた。
義母の『ありがとう』という言葉が
すごく嬉しくて印象に残っている。
両親からは『ご苦労さま』と。
私たちは親に
両親たちは祖父母になった。
新しい生命が誕生するということが
いかに奇跡的で尊いことなのかを
痛いほど感じた長い長い半日ちょっと。
家族3人での初共同作業は
想像を遥かに超えた壮絶な闘いだったけど
一生忘れられない貴重な体験。
娘の強い生命力にただただ感謝。
主人の励ましにも感謝。
的確な判断をしていただいた先生にも感謝。
帝王切開をしてみたら
羊水は胎便でかなり濁っていたそう。
緊急帝王切開をして本当によかったとの言葉に
決断は間違ってなかったのだとホッとした。
これが私たち親子の出産ストーリーです。
同じお産なんてこの世にない。
本当にその通り。
苦しい中、小さな体で必死に
頑張ってくれてありがとう。
パパとママ
家族みんなでこれからも
全力で愛し、守り続けるね。
パパとママにしてくれてありがとう。
コメント